キノコの写真を、バカチョンカメラで撮り始めた頃、秋に発生したタマゴタケの群に遭遇した。
それはすばらしい光景で、図鑑でしか見たことのなかった念願のタマゴタケである。
 その日は、一日や山を歩き、結構いろんなキノコに出会い、かごもいっぱいで、写真も沢山撮ったので、車の置いてある方へ帰る途中だった。
もう少しで到着というところで、ちょっと視線を振ると、やぶごしになにやら、幾つかの赤いものが見えるのだった。
今思い出しても、完璧な状態で、数本のタマゴタケが、その成長過程を示す様に幼菌から成菌まで列をなしているもの、単体で、虫にも食われず見事な赤を発しているもの...
「これは写真に収めるしかない」と一人言を、言いながらカメラを見ると、なんとフイルムがあと4枚しか残っていないではないか。
「うわー!どうしよう」と、言っても始まらない、その場にどのくらい居たかは忘れたが、どのアングルで写真を撮るか、悩みに悩み貴重な4枚を撮り終え、丁寧にかごに入れ車に戻った。
 帰りの車の中で、4枚しか写真が撮れなかったのが悔やまれて悔やまれてしょうがなく、それでもと思い、途中コンビニでフイルムを買い、家には庭が無いのでので、友人の家に寄り、採ってきたタマゴタケを芝生の上に並べて、心ゆくまでシャッターを押した。
その夜は、初めて食べるタマゴタケ、どう料理しようか悩み、卵とじスープ、ホイル焼きにして酒を飲んだのを覚えてるが、もう一つ、やけに悩んだ日でもあった。
 後日その4枚を含む写真があがってきた....「がーん」ピンぼけであった。
カメラのピント機構が故障していて、修理に2万以上かかった。
その日以来、タマゴタケとは、縁遠くなってしまい、出会っても、誰かが道路に捨てていって奴とか、発生して何日もたっていて、朽ちている状態のものだった。
 しかし今年は、ちょっと違う!完全に狙い、毎日気候を読み、今年こその願いを込め山を感じ、そして通い詰めた(大げさだったかな?)。
とにかく今年は当たり年の様で、こんなにタマゴタケの菌床がそこら中にあったのかと思い知った夏でした。ちなみに、余りの嬉しさに、この日一日でタマゴタケだけで、百数十枚の写真を撮ってしまった、現像代が...私はサラリーマン。



1999年7月25日のタマゴタ

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