きのこを始めた頃、どこかの図鑑に、「サクラシメジが尾根をわたる」と言う文書があり、とても印象的で、一度そんな場面に出会ってみたいと思っていた。
ふふふ..それが数年目前のある日にすごいアカンボウの群に出会ってしまった、かごには山盛り、両手に緊急用TURUYAのビニール袋、それでもまだ群は残っているが、出社時間に間に合うように山を出るには、完全に時間切れ。「まずい」と、つい声に出てしまった。で、やむなく心臓破りの沢越えスーパーAショートカットコース(何の事やらわからんでしょ)で帰るしかなった。ようやく楽な尾根に戻り、早足で車の置いてある場所に向かっていると、地元のきのこ狩りの老夫婦に出会った、なにやら満タンの肥料袋が2袋もある、のぞきこんで見ると、全部アミタケであった、いくらあたり年とは言え、すごい!
すると、おばあさんに、「兄さん、きのこまきながら、何処にいくんだい」と声をかけられた。
振り返ると、TURUYAのビニール袋が、何処かの枝にでも引っかかったのだろう、大きく裂け、アカンボウが、僕の歩いてきた後に軌跡となっているではないか、「みんな拾っちゃうぞ」と、じいさん。「あははは、どうぞ、これもあげる」と僕は破れた袋を肥料袋の脇において、つい少しの間老夫婦と話込んでしまった。「あ!こんなことしてる場合ではない、遅刻してしまう」。
少し軽くなって、さっきまでより速いスピードで歩ける、まだ間に合うと急いていると、なんと又、 アカンボウである、ついに、3袋めのTURUYAを出し取てしまった....でも会社にはぎりぎり間に合ったよ。
 この頃はまだ、写真は撮っていたものの、カメラはバカチョンで、夜明け直前の山の中であれだけの広い面積を撮影する事は不可能だった。
ここに搭載した写真は、去年(1997年)のもので、これもすごい筋を作っていて、まさに尾根を渡っていた。でもそれを表現する写真は、....まだまだ素人だなと、出来上がった写真を見てがっくりでした。

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